
1981.08.01
円林寺様からご依頼をいただき、鐘楼の新築工事をさせていただきました。
この工事は、弊社棟梁が修行時代を経て独立後、初めていただいた寺院の仕事でした。
また、当時25歳の棟梁が、棟梁として初めていただいた設計・施工の仕事でもありました。
この依頼は、棟梁が18歳の時に製作した習作「七間四面堂金堂雛形模型」を、当時円林寺住職・高築堯宥和尚が偶然見かけたことをきっかけにいただいた仕事でした。
当時、棟梁は仕事後の夜にコツコツと2年がかりで作製した寺院の模型(習作「七間四面堂金堂雛形模型」)を実家に置いていて、その習作を偶然目にした住職から、数年後「鐘楼を建ててみないか」とお声かけいただいたことがきっかけでした。
独立したばかりで、一人で設計・施工を進めていた当時を振り返り「怖さしらずで突き進むだけのような状態だった」と、棟梁は語っています。
竣工の暁には住職に大変喜んでいただき、初めての挑戦でたくさんの学びを得られた素晴らしい機会でした。
また、鐘楼の完成後に、たまたま円林寺の蓮の花を見に来られた随筆家の白洲正子女史が、円林寺を訪れ住職とお話をされた際に新築された鐘楼を見て「京都や奈良のベテラン宮大工に建ててもらったのですか?」と訪ねたところ、住職から弊社棟梁の話を聞き、まだ20代の大工が建てたことを知り大変驚かれ「ぜひその宮大工に会ってみたい」とのお話がありました。
そこで弊社棟梁は白洲女史を自宅にお招きし、お話をさせていただく機会をいただいた、とても思い出深い初仕事でもありました。
さらにその後もご縁をいただき、白洲女史の旦那様・白洲次郎氏の半生を描いたNHKスペシャルドラマ「白洲次郎」に出演された役者さんの、宮大工指導の仕事をさせていただく機会もいただき、本当に有り難く、縁深い仕事でした。