■伝統技術衰退の危機
日本の木造建築技術は、数千年の歴史を、人の手から手へ継承していくという形で保存され、現代まで受け継がれてきました。また一方で、工業技術としてプレカットやプレハブ等の技術も開発され、発達してきました。どちらの技術もすばらしく、またこれらを融合させる可能性を秘めているのが現代だと思います。
最先端技術の粋といわれるNASAなどの宇宙航空分野の技術でも、最終的には人間の手で行う技術でしかできない部分があるそうですが、建築分野でも、そのように、人の手でなければ成しえない技術があります。
しかしながら、人から人への継承を要する伝統技術は、あらゆる面で高度な技術や精神力を要することもあり、継続者が不足し、衰退の危機にある感を否めません。更に建築技術を発達させていくためには、伝統技術と新技術、どちらの翼がなくなってしまうことがあっても飛ぶことはできません。
そこで、現代で最も木造建築技術を保存している職の一つである宮大工が、この技術の継承をこれからも続けていくために、住宅にもこの技術を生かしていこうと、企画したのがこの「吉匠とつくる家」です。本来宮大工とは、社寺建築を専門に手がける大工ですので、住宅を手がけることは、あまり聞かせれないかもしれません。しかし、木造建築技術衰退の危機を感じ、次世代を担う若手への技術継承の場を少しでも多くして技術を守っていきたい、そしてこの技術の素晴らしさをより多くの方に味わって頂きたいと思い、この企画を立ち上げました。